祈り思い耽る時もある

日記

子は親を選択できない。
産まれる国はもとより、敗戦直後なのか封建時代なのか
少し遡れば、奴隷の子として生まれなければならない
こともあった。

ごみ山の上で、腐臭とメタンガスにまみれて生きる子供。
戦争で親を亡くし、姉と二人、盥回しにされた挙句、
喝上げ一つで、生きて往かざるを得なかった男児。
逆襲に遭い、命も落としかねないこともあったろう。

運次第
運とは残酷なものである。

私が独立する前、まだ勤め人だった20年前のこと、
不動産競売物件もよく取り扱っていた。

それぞれに事情があり、それぞれの機微も見た。
喜劇も悲劇も。

山口県の某市某町。
裁判所の三点セットのうちの、現況調査報告書には空き家と
記載されてあるが、室内にほぼそっくりそのまま動産が
放置してある。
土地と建物の不動産は落札したが、動産は落札外だ。
裁判所の執行官に申請し、動産処分の手続きを打ち合わせる。

事前にこちらも知ってはいたが、動産の所有者はやはり
組織の人らしい。
しかも服役中。
執行官から動産の所有者に意向を確かめるべく
服役中の刑務所に、手紙を送ってくれた。

しばらく間に返信は届いた。
内容は、ほぼ執行官を脅迫する内容だったみたいだ。
よく検閲を通ったと思う。
やむを得ず、倉庫に預けることとなった。

そんなやり取りの中、私に児童養護施設の方から
一本の電話が鳴った。
動産所有者の、中学生の息子二人が施設で暮らしており
二人の大切な宝物がそのまま置き去りにされてある。
当方がライトバンで二人を連れて行き、運び出したいので
立ち会ってもらえないかという内容。
二つ返事で引き受ける。

立ち合いの日。
笑みが零れる中学生の兄弟。
あどけない二人。
人懐っこい。
挨拶を受け、家の中へと入って行く。

待つ間、施設の職員が家庭事情を聞かせてくれる。

動産所有者の暴力は凄まじく、
特に酒を飲むと、手が付けられなくなるらしい。
妻は病み、自裁したような事実がそれとなく伝わってくる。
再三の戒めも無駄で、組織も持て余し、絶縁されている。
兄弟二人にも、容赦のない暴力で生命の危険さえあり、
強制的に、保護したとのこと。

兄は中学を卒業後、寿司職人を目指すと笑顔で話してくれた。

あれから20年。
あの子たちも35歳くらいになるのか。
結婚し家庭を持ち、子供もいるのだろうか。

幸せに暮らしているだろうか。
そんな思いに耽る時もある。

 

 

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福岡県宅地建物取引業協会会員

福岡県知事免許(4)15195

不動産コンサルティング
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