頸椎と腰椎、二箇所に椎間板がないらしい。
なので骨と骨が、クッションなしに重なり合っている。
軋む音が、いまにも聞こえそうだ。
「二箇所もあるのは遺伝かもね」
MRI画像を見ながら、整形外科医から言われたことがある。
そんなとこも遺伝するのか。
四足歩行が二足歩行に進化したのはいいが
重力が背骨に、もろにのしかかる。
人類の悩みか。
高校時の修学旅行、やったこともないスキーで派手に何度もコケた。
運動神経が、人より劣る。
今に思えば、それがそもそもいけなかった。
アルバイト先の活き魚料理店は、宴会が主な収益源。
終了後、山ほど食器を盛ったプラスティック製のトレイを
阿保ほど運ばされた。
そして発症。
それ以来のお付き合いとなってしまった。
22歳にしてとうとう、背骨の曲がったおばあちゃんの
ようにしか歩けなくなった。
労災病院でレントゲンに写る、神経を圧迫する飛び出した椎間板を
悲しいまでに避けようとする、悲惨に屈折した背骨を前に
医師から「よくもまあ辛抱したね」と変な褒めら方をされ
即入院、手術の運びとなった。
以降快調だったが、四十を過ぎてそろそろ老化を迎えだす
頃から怪しくなってきた。
そんなある日、最大級の試練が訪れるのである。
連日の引っ越し準備で、無理をしたのがいけなかった。
朝餉、ジャーからご飯をよそう、その中腰姿勢で終わった。
そもままフリーズ。
ぎっくり腰。
トントントンとっとことんで、つんのめってかろうじてうつ伏せに。
しばらくそのまま。
ちょっとでも動こうとすると
息ができなくなるくらいの激痛が走る。
しかしこのままでは、あまりに辛い。
とりあえず仰向けになりたい。
が、少しでも体をねじろうもんなら、気絶しそうな激痛。
息が止まる。
呻き声ではなく、悲鳴どころか絶叫してしまう。
大声大会の最高デシベルを記録しそうだ。
とにかく、ちょっとも動けない。
5cmも動けない。
動くと脳天を突き抜けるような電流が走る。
気を失いそうになる。
でも、うつ伏せのままはもう耐えられそうもない。
痛くない動きを、探り々
仰向けになるまでに、30分はかかった。
「アーッ」 と絶叫しながら、勇気を振り絞って体を捻った。
腰痛には慣れているつもりだった。
これ以上無理をするとやばい
最悪な状態にならない術を、知っているつもりだった。
だが、そんな浅はかな知恵など吹き飛ばす
艱難辛苦を与えられたのである。
何が困るかって
一番困るのは、トイレに行けない。
だって起きれないんだから。
便器に座るなんて夢のまた夢。
尿瓶?
ペットボトル!?(そんなにちっちゃくはない)
限られた姿勢しかできない中で、ペットボトルでは間口が!?
狭くて確実に的を外すのは、目に見えている。
そこで思いついたのが、ラーメンどんぶり。
これなら間口十分で、的を外さないだろう。
情けないが、背に腹は代えられない。
もっとも、這ったまま八代亜紀の
“雨雨ふれふれもっとふれ” 状態(あの歌っている時の
右手を上下するポーズね)でトイレまで持って行けるのかは
甚だ疑問だが……
問題は大きい方だ。
便意を催したらどうしよう。
考えたらぞっとする。
しばらく断食しかあるまい。
想像するのはもうやめとこう。
二日経ってもいっこうに痛みが治まらない。
相変わらず体の向きを変えるにも難儀する。
このまま寝たきりになり、歩けるようになるのか?
治まったところで度々これではと思うと、暗澹たる気分になってくる。
お先真っ暗とはこのことだ。
試練は続く。
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