平成30年総務省統計局住宅・土地統計調査結果によると
我が国の総住宅数は6,242万戸。
そのうち空き家は846万戸、空き家率13.6%(別荘などの二次的住宅を除いた空き家数は
808万戸、空き家率12.9%)約7戸に1戸は空き家である。
空き家は、昭和63年から平成30までの30年間で452万戸(114.7%)増加している。
令和5年6月現在は、もっと増えているだろう。
この浅川中学校付近も、年々増加している。
ちなみに2021年の新設住宅着工戸数は約85.6万戸であり
単純にしばらくこれくらいで推移するとすれば、同じくらい解体するなりしないと
総戸数は増え続けることになる。
人口は急激に減り続けているのにである。
なぜ空き家が増えるのか?
①高齢化
独居所有者が高齢で亡くなりそのまま放置。
体の不自由、一人暮らしによる広い住宅、庭の管理問題の理由で
老人ホーム等に入居する。
②都市部に移住
地方から都市部へ移住。
就職による引っ越し、地方の親が都市部の子供近くに移住するなど。
③相続
相続人が実家を相続する場合、自宅を別に所有、賃貸して住んでいることが多い。
特に遠方に居住していて、そこでの生活基盤が長ければ実家に戻るケースは少ない。
また相続人が複数存在すると、時間の経過とともに二次相続になり、売却などの合意が
得られにくくなる。
④供給過多
新築住宅への住宅ローン控除、住まいの給付金などの優遇措置によって
住宅取引戸数の占める新築住宅の割合は、8割以上である。
分譲住宅、注文住宅、分譲マンション、賃貸アパート・マンションを供給し続ける
デペロッパーのビジネスモデルも一因。
⑤固定資産税
この問題が重要。
住宅地に住宅が建っていると、1戸につき200㎡まで小規模住宅用地として
固定資産の評価額に対する課税標準額(税額の計算の基礎となるもの)が
固定資産税6分の1、都市計画税3分の1に減額され、200㎡を超えた部分も
一般住宅用地としてそれぞれ3分の1、3分の2になる。
空き家を解体して更地にすると、住宅用地の課税標準の特例が適用されなくなる。
状況によって異なるが、税額が約3倍~4倍になる可能性がある。
よって空き家のまま放置される原因になる。
ただし
2015年に施行された、空き家対策特別措置法により「特定空き家」に
指定されると上記特例の適用を受けられない。
「特定空き家とは」
国土交通省の基本方針である
「倒壊などの著しく保安上危険となる恐れがある状態」
「著しく衛生上有害となる恐れがある状態」
「著しく景観を損なっている状態」
「放置することが不適切である状態」
の4項目のうち、いずれかに該当する空き家のこと。
放置空き家の問題点
①建物の老朽化
人が住まなくなると、雨漏りなど建物が急速に傷みやすくなり
最悪の場合、倒壊の恐れがある。
②景観や衛生の悪化
シロアリやネズミ等による被害、粗大ごみなどの不法投棄による悪臭
ゴキブリの発生、雑草によるやぶ蚊の大量発生、落書き。
③防災
地震、台風、大雪などの災害による倒壊の恐れ。
通行人への人的被害。緊急車両の通行妨害。
④防犯
第三者の不法侵入(ホームレスや犯罪者など)
失火、放火による火災。近隣に類焼する恐れ。(損害賠償責任)
まとめ
国は、空き家対策特別措置法を2015年より施行し
県、市町村とともに、空き家対策に頭を悩ませている。
2024年4月から「相続登記の申請の義務化」
2026年4月までには「住所等の変更登記の申請の義務化」が施行される。
比較的、換金されやすい空き家は処理されやすい。
問題は高台にある空き家や、車が侵入できない空き家。
市街地まで遠い、不便な空き家。
市街化調整区域内の、建て替えができない空き家などの
換金されにくい、または再利用されにくい空き家は
問題を抱えていくだろう。
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